TOEFL対策 10大原則:これから始める人のスコアアップ学習法
TOEFL iBTを過去10年間で何度も受験し、スコアを60点から107点にまで上げた筆者がTOEFLの学習を始める人に伝えたい10の大原則を説明する。
その1. 王道はETSの公式ガイドとBarron’sの参考書
筆者は海外の出版社と日本の出版社のTOEFL教材と一般英語教材を本当に使用した学習者であり、教材に関しては基本的にETSの過去問とBarron’sの問題集で十分である。
(詳細はTOEFL iBT お薦め参考書を参考にして欲しい)
ETSの過去問は実際のテストとほとんど同じで非常に役立つ。Barron’sの問題集は、実際のテストと多少形式が違う。しかし、問題量が多いので単語力やリスニング力の強化に役に立つ。
Official Guide to the Toefl Ibt
この本に付属しているCD-ROMには3回分の練習問題が入っていて、本番とほとんど同じように練習できる。
- 各回の試験につき、Reading 3題、Listening 6題、Speaking 6題、Writing 2題が含まれている。
- 難易度としては実際の試験よりも易しめである。
これで練習して試験の傾向を理解する。
Official TOEFL iBT® Tests Volume 1, 2nd Edition
5回分の過去問題 を解ける。各回の試験につき、Reading 3題、Listening 6題、Speaking 6題、Writing 2題が含まれている。
問題の難易度は実際の問題と同じである。リスニングの原稿がAppendix Bに載っている。
Official TOEFL iBT® Tests Volume 2
Volume 1とは別の5回分の過去問題を解ける。2016年1月に出た公式過去問題集である。
試験形式で受けられるDVD-ROMが付いている。問題は質・形式・難易度ともに現在の本試験と同じである。
Barron’s TOEFL iBT
この本の素晴らしい点は8回分の模擬試験問題が載っていることである。リーディングとリスニングは本番と非常に似ていて、本番より少し難しめ程度である。さらに全てのリスニングのスクリプトが本に書かれている。
他にも、TOEFL iBT® Test Sample Questionsや試験申し込み者が自分のアカウント上で1回だけ受けられるThe TOEFL iBT Test Sample 1回分の過去問も合わせ、ETSの過去問は15回分になる。Barron’sの練習問題8回分になる。
他の参考書は実際の試験と乖離した問題、解説が多いのであまりお勧めしない。
TOEFL iBTに役立つ語彙力、リスニング力を楽しく学ぶならBBC Planet EarthとBBC Documentaryの教材がお薦めである。
その2. リスニングを制する者はTOEFL iBTを制す
TOEFL iBTで高得点を取るためにもっとも大切なスキルはリスニングである。TOEFL iBTにおいて試験の約58%がリスニング力を試す問題になっている。
TOEFL iBTはリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4セクションで構成されていて、各30点である。
リスニングはリスニング力のみが試される。スピーキングはリスニングの内容を元に、回答する問題が6問中、4問ある。
ライティングはリスニングの内容を元に、回答する問題が2問中、1問ある。
スピーキングとライティングの問題ではリスニングの内容が分からないと答えることはほとんどできない。しかも、その内容はリスニング・セクションの内容とほぼ同じ難しさである。
従って、リスニングを制する者はTOEFL iBTを制す。
このリスニング中心の試験方式は、実際の留学に必要な英語力の必要度を上手く反映している。
例えば、誰かと英語で論理的に会話しようとすれば、相手の話を理解した上で自分の主張を説明する必要がある。また、授業でレポートを出すにしても、教授の話を理解できないと、書く内容が無い。
リスニングの対策はTOEFL Listening勉強法: 5つの基本ステップ (精聴)を参考にしてほしい。
その3. 学術的な語彙力は点数の源泉
TOEFL iBTにおいてリスニング技能の次に必要な能力は、学術的な語彙力である。特にリーディングでは非常に高い語彙力を要求される。
また、リーディングの他に、リスニング、スピーキングの問4、問6、ライティングの問1でもかなりの語彙力が要求される。単語レベルは10000語~12000語レベルである。
一般的に高校生卒業水準の単語は多くて5000語である。私は大学生で初めてリーディングの問題を読んだ時、語彙力不足で半分くらいしか文章の意味が分からなかった。
TOEFL iBTのリーディングでは科学系のトピックが多く、日本に生活しているだけでは目に触れない単語が多い。地震、エネルギー、水源、宇宙、動物などに関するトピックである。
余談だが、英語圏に住むならこれらの語彙は勉強する価値がある。学術的な英単語は普段、頻繁に日本で見ない。しかし、英語圏で生活していればそういった単語を目にする機会がしばしばある。(天気、経済、栄養の話題など。)
日々の生活において、それぞれの頻出頻度は非常に低い。しかし、学術的な単語群として考えると、これらは生活の5%近くを占めると言っても良い。従って、これらの単語を習得するのは役立つ。
語彙力アップの方法はTOEFL iBTの語彙についてやTOEFL Reading勉強法を参考にしてほしい。
その4. 185題のWriting Topicsを制覇せよ!
SpeakingとWritingのお題では純粋なSpeaking技能とWriting技能が必要不可欠である。
- 話題の発展力
- 発音・イントネーション
- 文法・文章構造力
- 英語の表現力
- 言い換え力
上記がSpeakingとWritingでは試されるため、十分なアウトプットの練習が必要である。
その練習教材としてはETSのThe Official Guide to the TOEFL Testにあるライティングのトピック185題が非常にオススメである。185題のWriting Topicsを制覇することで、しっかりとしたSpeakingとWritingの基礎力が身につき、どのような問題にも適用できるようになる。
また、185題の中でもSpeaking Question 1&2 とWriting Question 2に同じ種類の問題は絞ることができる。
- Speaking Question 1はオープンな質問(Choice型)である
- Speaking Question 2は2択の質問(Preference型)である。
- Writing Question 2は賛成・反対を問う質問(Agreement型)である。
Speakingの詳細な勉強法はTOEFL iBT スピーキング勉強法:自分の回答を録音して何度も復習するを参考にしてほしい。
その5. 復習を必ずする
TOEFL iBTの日々の勉強において大切なのは復習をすることである。単語を覚え、英語の音を聴けるようになるためには、反復練習が一番効果的であるからである。昨日読んだ、文章をもう一度読んで、新しい単語を何度も確認する。また、昨日聞いた講義をもう一度聴いて、分からなかった音を確認する。
英語の上達の早道はこの繰り返しである。最低、3回は復習をしよう!
また、TOEFL iBTの勉強は一回一回を丁寧にすることが大切である。毎回、教材にある新しい単語をきちんと覚え、分からない音は分かるまで聴くようにすることである。
なぜなら、TOEFL iBTの得点アップのために勉強できる教材が限られているからである。つまり、教材の量に限りがあるので、一つ一つの練習を丁寧にしないと、練習できる教材がすぐに無くなる。
これらの教材をいい加減にすれば3ヶ月で終えられるだろう。しかし、きちんと復習しなければ、英語力は付かず、点数はそれほど伸びない。 もし、これらの教材を一つ一つ丁寧にすれば6ヶ月は最低かかる。
そのためにはExtensive(多)よりIntensive(精)の方が大事である。
リーディングの問題文は最低3回は復習し、分からない文章を理解し、出てくる単語を完璧に覚える。(精読) リスニングも最低3回は復習して、出てきた音を聴き取れるようになる。(精聴)
スピーキングにおいては、各問の模範回答を作成し、文法、単語ともに完璧に仕上げ、何度も話す練習をする。(精話) ライティングもスピーキング同様に、完璧なエッセイに仕上げる。(精書)
精読や精聴は英語でIntensive ReadingやIntensive Listeningと呼ばれる。 その対義語である多読や多聴はExtensive ReadingやExtensive Listeningと呼ばれる。
Intesive系の勉強法では、 分からない(読めない、聞けない、話せない、書けない)を、分かる(読める、聞ける、話せる)ようにする。 それにより一歩ずつだが、確実に英語力は改善する。 一方で、その対極に位置する多読、多聴、多話、多書は楽である。 しかし、一つ一つのミスを細かく修正しないので、英語力の改善は遅くなる。 このように丁寧に勉強することで、英語力が着実に付き、点数を伸ばせる。
その6. 問題形式を熟知する
TOEFL iBTの問題形式を熟知することは重要だ。TOEFL iBTの問題形式と内容は独特である。その独特の問題形式と内容に対応策を準備することで点数アップを狙える。
そして、TOEFL iBTの問題形式は常に同じである。リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの順番に出題される。そして、各セクションの問題形式も同じである。従って、練習問題で通用する対応策は本番でも通用する。
対策準備を特に効果的に生かせるのはスピーキングとライティングの問題である。スピーキングは1問目から6問目まで、問題の形式は完全に固定されている。
例えば、3問目がキャンパス内の問題、4問目が講義内容の要約といった具合である。ライティングも1問目は講義内容の要約、2問目はエッセイと固定されている。
これらの問題形式は、事前準備によって、より多くの得点を取ることが十分に可能である。各問題への詳細な対策方法は、第7章 スピーキングとライティングで高得点を取る戦略 (100点以上を目指す人へ)を参考にして欲しい。
同じ実力でもスピーキングとライティングの問題形式を熟知していれば、総合で5点は多く取れる。事前に何度も問題を解き、問題形式を把握し、各問題に対しての対策方法を整えるべきである。
一方で、リーディングとリスニングの問題は対策しても点数をそれほど上げられない。むしろ、自分の実力通りの得点になる。
従って、リーディングとリスニングの基本的実力を上げる日ごろの勉強の仕方が大事である。
その7. 英語のネイティブスピーカーの支援は必須ではない
TOEFL iBTの点数を上げることにおいて、英語のネイティブスピーカーの支援は必須条件では無い。もちろん、あった方がスピーキングとライティングの上達において役立つ。しかし、大幅な点数アップは独学の勉強でも十分可能である。
まず、リーディングとリスニングにおいてはネイティブスピーカーの支援なしに、独学の勉強で9割近くの点数を取ることができる。筆者自身がそうである。
スピーキングとライティングも7割近くの点数を独学で取れるだろう。話したり、書いたりする練習は独りでできるし、スピーキングの自分の回答を録音して聞けば、自分で改善できる。ライティングのエッセイもある程度は自分で見直しできる。
また、リスニング技能の改善はスピーキングとライティングの点数アップに繋がる。なぜなら、一部のスピーキングとライティング問題はリスニング形式だからである。また、リスニング技能が高ければ、発音も改善されたり、ネイティブスピーカーが書くような文章を自然と思い浮かべるようになる。
以上から、自力の勉強のみでTOEFL iBTで最低90点以上を取ることは十分に可能である。少なくとも、TOEFL iBTの勉強を始めて、最初の3ヶ月は独学のみで十分である。まずは、語彙力とリスニング技能を上げて、基礎力の底上げをしよう。
しかし、ネイティブスピーカーの支援があれば、スピーキングとライティングの見直しで助けられる部分も多くあることは事実である。ネイティブスピーカーの助けを得られるウェブサイトを紹介する。
DMM英会話はSkypeを使ってオンラインでレッスンを受けられる英会話サービスである。通学型に比べるとかなり格安である上、講師のレベルもかなり高い。(25分の無料体験レッスンを2回受けられる)
会話、デイリーニュースなどを教材にすると良い。
Fiverrは5ドルであらゆる専門的な仕事を依頼できるサービスである。Writingエッセイの添削を依頼しよう。(一回5ドルでネイティブ水準の人が添削するサービスを受けられる。)
その8. 範囲外の勉強は必要ない
当たり前に聞こえるが、範囲外の勉強は必要ない。なぜなら、学術的な英語以外の勉強やTOEFL iBTに関連しない英語の教材を使うことは非効率だからである。
例えば、TOEFLの勉強のためにTOEICの勉強をする必要はない。TOEFLに直接関連するETSの過去問とBarron’sの問題集を中心に勉強するだけで良い。(BBCのPlanet EarthやBBC Documentaryは例外)。他の問題集や教材はTOEFL iBTの英語と関係性が低い。
TOEFL iBTにおいて尋ねられるのはTOEFL iBTの英語、つまり、学術的な英語のみである。
これは、良い知らせである。なぜなら、勉強すれば膨大に見えるTOEFL iBTの英単語も、実はTOEFL iBTに出てくるだけの単語に限られているからである。
つまり、過去問や類似問題集をこなしていれば、それだけで点数を上げられるようになる。それが一番の近道である。関係性の薄い英語の教材に手を出して、時間を無駄にしないようにしよう。
その9. TOEFL iBTの勉強はマラソンの逆
TOEFL iBTの勉強はマラソンの逆である。これは長期的に勉強していく上で精神的に重要な心得である。TOEFL iBTの勉強は最初がとても辛い。毎日、リーディングで単語の暗記、リスニングで音を何度も聴くという作業は非常にエネルギーを使う。
最初の一ヶ月の基礎トレーニングは非常に億劫になるだろう。しかし、2ヶ月ほど勉強すれば、楽になってくる。TOEFL iBTに出てくる単語のほとんどを分かるようになり、リーディングも早くなる。
また、英語の音も大体聴き取れるようになるので、リスニングも負担でなくなる。つまり、勉強すればするほど、累乗的に勉強は楽になってくる。
これはマラソンの逆である。例えば、10kmマラソンは最初の2kmは簡単に感じる。これをあと、4回続けるだけと思うがそうではない。
5kmを過ぎたあたりから、足が非常に重くなり、息切れも激しくなる。最後の2kmは非常にしんどい。最初の2kmとは比べ物にならない辛さである。マラソンは走れば走るほど累乗的に疲れが溜まっていく。
よって、TOEFL iBTの勉強はマラソンの逆なのである。だから、最初の2ヶ月を忍耐をもってやり抜こう。それさえ乗り切れれば、あとは点数を上げる勉強を楽に続けられる。
その10. TOEFL iBTの勉強は実用英語の上達に繋がる
TOEFL iBTの勉強は日々の生活に使う全体的な英語力の向上に繋がる。これは、TOEFL iBTを勉強する意義として理解しておいて欲しい。TOEFL iBTと現実で使用される英語力が正の関係にあると理解すれば、TOEFL iBTを勉強する意欲が上がるだろう。
TOEFL iBTの勉強はTOEFL iBT試験のためだけではない。
例えば、TOEFL iBTのリーディングでは大学の授業の枠を超えた、一般的な教養に近いトピックを多く扱っている。環境問題、動物の歴史、人間の文化などである。
これらの用語や背景を英語で勉強することは、英語圏で実際に生活する上で役立つ。イギリス、アメリカやカナダなどでは、色々な異文化を背景にして人々が生活しているからである。
もう1つ例を挙げると、リスニングで大学レベルの教養を聴き取れれば、様々な背景を含む時事ニュースをテレビで聴いて理解できるだろう。スピーキングで大学レベルの内容を話せれば、友達と高度な知的な会話を展開できる。
ライティングで大学レベルのエッセイを書ければ、仕事や生活に必要な内容を、正確に伝えられる。従って、TOEFL iBTの勉強は必ず、日々の生活で必要な英語力に繋がる。
実際の英語力とTOEFL iBTの因果関係に注目
しかし、一部の人々は実際に日々の生活で使う英語力とTOEFL iBTは関係ないという。アメリカで一年間、生活していたけどTOEFL iBTの点数は伸びなかったなどという意見をしばしば聞く。ここで注目すべきなのは、その因果関係である。
-> TOEFL iBTの勉強は日々の生活で役に立つ英語力を伸ばす。
上記で説明したように学術的な英語は英語圏の生活に役立つ。
-> 生活で身につけた英語力がTOEFL iBTの点数アップに繋がるとは限らない。
生活で学ぶ英語が必ずしも学術的な英語と関連している訳ではないからである。
結論として、TOEFL iBTの勉強は日々の実用英語にも役立つ。TOEFL iBTの勉強をしていることに自信を持とう。
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