TOEFL 100点とIELTS 7.0点はどちらの方が取りやすいのか?〜比較と分析〜

2017/04/08

この記事の結論を先に言うと 🙂 😀


  • TOEFL 100点よりIELTSの7.0の方が取りやすい。同じく、TOEFL 80点よりIELTS 6.0の方が取りやすい。
  • IELTS 7.5以上は換算表で同等のTOEFL iBTのスコアと同じ難易度か、さらに難しい。
  • 上記の点数の違いがより顕著に出てくるのはWritingとSpeakingである。


ちなみに問題自体の難易度は全セクションでTOEFL iBT > IELTSであることに異論はないとされる。

そのため、留学や受験などで『TOEFL iBT 100点またはIELTS 7.0』またはそれ以下の点数を目指す場合、普段はTOEFL iBTの勉強をしながら、試験自体はIELTSも受験することを推奨する。

TOEFLとIELTSの基礎知識とスコアの比較

TOEFLとIELTSどっちにしよう? 

どちらの試験もReading, Listening, Speaking, Writingの4技能試験であり、試験問題も似ている部分が多い。

また、TOEFLとIELTSの試験は国際的に大きな信用を同等に得ていて、比肩する他の試験はないとされる。海外・日本の各大学や機関などが留学や入学試験の際に求める英語資格はTOEFLとIELTSのどちらも通用する場合がほとんどである。

そして、TOEFL 100点=IELTS 7.0TOEFL 80点=IELTS 6.0と見なされる場合が多い。

(例外)イギリスとオーストラリアのビザとカナダの永住権においては英語力の取得の際はIELTSのみでTOEFL不可である。早稲田国際教養学部(SILS)の一般入試の英語 4 技能試験結果はTOEFL、英検のみでIELTSを使えない。国際教養学部で英検を使用できるのにIELTSが不可なのは不思議である。ちなみに一般入試の筆記試験はTOEFL 95点取れる受験者にとっては簡単である。

世界的にはIELTSの受験者はTOEFLの4倍以上

2015年、世界的にはIELTSの受験者はTOEFLの4倍以上である。(日本ではTOEFLの受験者の方が多い。)

  • TOEFL:世界約72万人(日本約8万人)
  • IELTS:世界約250万人以上(日本約3万1000人)
7年間の日本での受験者の移り変わり(英検協会のHPより)

受験者数ではIELTS>TOEFLの理由は2つあり、

  • IELTSの方が大学の要求する英語基準を満たしやすいと言われている。特に中国ではIELTSの方が人気が高い。
  • イギリス・オーストラリアのビザではTOEFL不可でIELTSのみ。

と、IELTSは拡大戦略が上手である。(試験の難易度と質の高さから筆者はTOEFL派である。)

TOEFLとIELTSのスコアの比較

TOEFLはReading, Listening, Speaking, Writingの各セクションが0点~30点、Totalが0点~120点である。

IELTSはListening, Reading, Writing, Speakingの各モジュールが1.0から9.0のバンドスコアで、0.5刻みで示される。

下の各資格の換算表を参考にしてほしい。一般的に広く流通している換算表である。(ETSが発表している換算表)

一般的にベンチマークとされるIELTS 7.0, 6.0, 5,0の行に青色を塗っている。

点数帯によって取りやすさは変わる

統計的なデータはないが、私と他の受験者による体感のまとめると、冒頭で書いた結論でなる。

  • TOEFL 100点よりIELTSの7.0の方が取りやすい。同じく、TOEFL 80点よりIELTS 6.0の方が取りやすい。
  • IELTS 7.5以上は換算表で同等のTOEFL iBTのスコアと同じ難易度か、さらに難しい。
  • 上記の点数の違いがより顕著に出てくるのはWritingとSpeakingである。

実際に私の友人たちからは

  • IELT 7.0を持っていたが、TOEFL iBTを受験すると90点しか取れなかった。
  • TOEFLで60点だったが、IELTSでは6.0を取れた。
  • TOEFL 106点だが、IELTS 7.0だった。

といった声を聞いている。

換算表通りの点数にならない理由

  • 下に説明している通り換算表の元となった研究の有効性が弱い。
  • Writingに関してIELTSの方は完全に人による採点であり、基準が厳しいと言われ、満点を取るのが難しい。TOEFLはThe e-rater® engineを採用しており、子供っぽい表現であっても、トピックの発展がしっかりしていて、言葉の表現の正しければ高得点を出しやすい。
  • Speakingに関して日本人は英検や一般受験を経験している場合が多く、IELTSと同じ対人面接に慣れている。対人では相槌を打ったりや時間を待つことがある。一方でパソコンの前に座って、マイクに答えを吹き込むTOEFL形式には慣れていない。

統計の解釈を含むが以下に換算表の元となった研究の有効性が弱いことを説明する。

換算表を作る元となった研究の有効性が弱い

ETSによる研究報告 (2010年)によれば、

  • 香港の受験者(473人)のスコア傾向を強く反映している。日本の受験者はわずか58人である。1153個のサンプル数の41%が香港、アメリカ 6%、日本 5%、その他の国は全て4%以下となっている。
  • 自発的にTOEFLとIELTSのスコアを提出した受験者のみのデータである。非自発的な受験者は含まれていない。例えば、平均的に母集団よりも高いスコアを持つ受験者の集まりである。
  • 相関係数をみるとTOEFLとIELTSのTotalスコアの相関関係は強くない。また、Writingの相関はやや存在する程度であるし、Speakingも弱い。
  • ELTSの9点満点と比較して、TOEFLは0-120点とスコアの幅が大きい。そのため、例えばIELTS 6.0に対してTOEFLは60‐78と幅が広い
  • 高い点数帯と低い点数帯の受験者が少ない。IELTS 8点以上と5点以下の点数の受験者の数は非常に限られている。

という訳で、よく研修報告書を吟味すると、非常に信頼性の低い統計結果を元に換算表は作られ(!)、全世界に広まっており、大学などでも参考にされている。

さらに指摘するならば、

  • TOEFLとIELTSのWritingでは採点基準が違う可能性が高い。(多くの受験経験者も指摘) Writingの相関関係が特に弱いが、両試験とも要約するWritingと自分の意見を述べるWritingの問題であるからである。
  • 研究ではテストの受験回数の考慮がない。ETSによる調査なので、受験者はTOEFLの試験をより多く受け、TOEFLの試験慣れしている可能性が高い。
  • IELTSの点数は0.5刻みである。4つのモジュールの平均点であるOverall Band Scoreは.25や.75だった場合は切り上げられる。6.25は6.5となる。 (公式HPを参照) あるモジュール点数のわずかな点数の揺れがOverall Band Scoreを0.5点変動させ、TOEFL換算では大きく違ってくる可能性がある。例えば、IELTSでListeningの点数が0.5点伸びると、Overall 6.5→7.0になり、TOEFL 93->100とみなされる。

と、換算表通りにならない点を挙げられる。

とにかく、大半の受験者はTOEFL 100点かそれ以下を目標にしている場合が多いので、IELTSの受験も推奨する。