TOEFL iBT、IELTS、英検1級、ITP、TOEIC、受験英語、TEAPの位置づけをサッカーに喩える
TOEFL iBT、IELTS、英検1級、ITP、TOEIC、受験英語、TEAPの違い・位置づけをサッカーに喩えながら簡単に説明する。
TOEFL、IELTS、英検などの外部試験の活用が増えているが、これらの試験の特徴と位置関係をどのように捉えると良いか分からない読者向けである。
英語とサッカーは共通点が多く、今回は各種資格試験をサッカーに喩えて説明する。
TOEFL iBTはスペインのリーガ・エスパニョーラ
まずは世界で2005年からコンピューターで受ける4技能試験を導入したTOEFL iBTである。
TOEFL iBTはサッカーに喩えると、世界的に人気かつ競争が激しいスペインのリーガ・エスパニョーラと言える。一貫した試験の難しさ、質の高さに定評がある。
全体的な能力が高くないといけないリーガと同様、Reading、Listening、Speaking、Writingの4技能が試されるのがTOEFLである。
フィジカル(身体的強さ)よりもテクニック重視のリーガだが、日常英語というよりはアカデミック・キャンパスで使用する英語を扱うのがTOEFLである。
IELTSはイングランドのプレミアリーグ
IELTSを喩えるならばイングランドのプレミアリーグであり、リーガ・エスパニョーラと並ぶ最高峰の一つである。サッカーも英語もイングランドが発祥の地である。
フィジカルが強く、激しいプレーが多いのがプレミアリーグの特徴だが、900wordsほどの書籍、専門誌、雑誌、新聞のReadingを1時間で3passagesをすることや次々とディクテーションするListeningなど、英語力だけでなく処理能力・スピードが求められるのがIELTSの特徴である。
色々な国籍の選手が多いプレミアリーグだが、IELTSも日本では英検協会と提携して受験者を増やそうとするなど、外国での普及に熱心である。
英検1級は日本のJ1リーグ
英検1級を喩えるならば日本のJ1リーグである。J1リーグは日本での人気に留まっていて、英検も日本国内での利用がほとんどである。文部科学省の後援を受けている。
速いパス回しが特徴?の日本のサッカーだが、英検1級は語彙問題が非常に難しいのが特徴となっている。
欧州のサッカーリーグと比較してJ1リーグはレベルが易しいと見なされているが、TOEFL 90点、IELTS 6.5を保持していれば英検1級は取れると見なされている。
TOEFL ITPはリーガ・エスパニョーラの下位組織 (カンテラ)
TOEFL ITPは2006年くらいまで公式テストだったTOEFL PBTと同じ内容である。
Listening、Grammar、Readingのみであり、インプット量だけを試す問題である。また、文章はTOEFL iBTと同じアカデミックでありつつも1passage 300~400wordsと短い。
そのため、TOEFL iBTでまだ60点に届かない受験者用向けの前段階の試験・学習教材と位置づけられており、リーガ・エスパニョーラの下位組織 (カンテラ)と同じである。
TOEICはフットサル
TOEICを喩えるならばフットサルである。
サッカーは1チーム11人、競技時間は90分に対し、フットボールは1チーム5人、競技時間は40分、ピッチサイズはサッカーの半分以下である。(参考)
フットサルには独特の戦略と難しさがあるといえ、サッカーからフットサルに転向は可能であり、その逆は容易ではないだろう。同じように、TOEFL・IELTSからTOEICの転向は容易だが、TOEICからTOEFL・IELTSは難しい。
受験者の8割は日本人と韓国人である。日本人がETSに依頼して作成されたテストだからである。
受験英語はフリースタイル・フットボール
フリースタイルフットボールとは、リフティングやドリブルなどのサッカーの技術を飛躍させて、魅せるものにした文化である。(Wikipedia)
世界大会で日本代表が優勝したり、準優勝したりする年があるなど、こちらは日本人も強豪として活躍できている。
ボールコントロールという技術に特化したパフォーマンス競技であり、細かい動きにこだわる。ボールコントロールを磨くのでサッカーとある程度は繋がるが、戦術、スタミナ、チームワークなど他の要素もあるサッカーの実力を測ることは難しい。
受験英語も単語・文法・和訳・英訳・和文要約に特化した試験であり、主語・目的語単位で採点基準も細かい。
受験英語で学ぶ文法力は実用英語にある程度は役立つが、実用英語はListeningのインプットに加え、Speaking・Writingのアウトプット、瞬発力、複合性と他の要素が多くあるため、受験英語は実用的でないと言われる所以である。
ただし、近年は一般受験の英語でも実用的な英語の要素が取り入れられつつある。
慶應義塾大学の総合政策学部・環境情報学部の英語、早稲田大学国際教養学部の英語、国際基督教大学の英語などはTOEFL・IELTSのReadingに近い。秋田国際教養大学の英語の試験は基本的にTOEFL・IELTSのEssay Writingと同じである。
比較的に英語が難しいと言われる上記の国際系学部だが、単に難易度の問題でなく、高校生が実用英語を勉強していないという側面も大きいだろう。
TEAPは日本のJ2リーグ
英検協会と上智大学が協同で開発した4技能測定テストであるTEAPを喩えるならば、日本のJ2リーグである。
TEAPのスコア結果は大学の一般入試やAO・推薦入試で活用されている。(上智や早稲田、MARCH系の大学、ほか多数)しかし、大学入試以外では活用されることは皆無なので英検1級と比べると利用の幅が狭い。
J2は下位リーグにあたり、J1よりもレベルは下がる。TEAPの難易度も英検2級から準1級程度であり、英検1級には届かない。英検準1級程度を取れる英語力を持っていれば、各大学が課しているTEAPの基準のスコアを間違いなく取れるだろう。
問題はTOEFL、IELTS、英検、TOEICなどの各試験の問題に類似しており、高校生用に易しくしている。
以上、各種英語試験をサッカーに喩えて、特徴・位置づけを説明してみた。
各試験の特徴を数値化したTOEFL/IELTS/英検/ITP/TOEIC/受験英語を数値化する!も参考にして欲しい。