ITエンジニアの人が英語をデキるようになる勉強法②:リスニング編
前回のIT・プログラマー系の人が英語を使えるようになるための現実的な勉強法の提案が好評だった。今回はリスニングの勉強法について詳細に書く。
英語勉強全般に言えることだが、段階的に勉強していくことなどはプログラミング学習と似ている点があり、コツを掴めば学習効果は高くなる。
学習時間の目安は1日1時間程度である。エンジニアとして忙しいと思うが朝か夕方かに1時間確保し、リスニング練習をしてほしい。それだけ、リスニングは英語勉強では大事になる。
ちなみに下はスティーブ・ジョブスのスタンフォード大学の卒業式のスピーチである。日本語の字幕もあるので、時間のある時にリスニングしてみよう。
しかし、世界の名動画の中で日本語の字幕のないものは沢山ある。それに触れられるようにリスニング力をつけよう。
リスニング学習の心得:リスニングを制するものは英語を制す
リスニングは言語学習の根本的な部分であり、スポーツで言えば走る事に近い。
そして、自然な言語習得のプロセスである。子供はまず聞くことから言語を学び始め、次にスピーキング、次にリーディング、最後にライティングである。
例えば、誰かと英語で論理的に会話しようとすれば、相手の話を理解した上で自分の主張を説明する必要がある。また、会議でレポートを出すにしても、上司や同僚の話を聞かないと、良い内容は書けない。
従って、日々の英語学習はリスニングを中心にする。目安は全学習の50〜60%である。
リスニング学習のコツ:効率よりも楽しんでリスニングする事
プログラミングと同じだが、英語学習の中でも特にリスニングは効率よりも楽しみながらすることが大事である。楽しんでリスニングすることで継続的に自然と学べる。
リスニング力は一日では身につかず、長期的に学んでいく事が必要だからである。まずは自分が楽しいと思えるような英語教材と学習法でコツコツと続けることをオススメする。
自分の興味のあるトピック、音声だけでなく動画、音楽やお笑いだって良い。
一方で、普通にリスニングの勉強を開始すると、英語に関してモチベーションが高くない初心者の10人中7人は挫折する。それだけ長期的かつ本格的な英語学習はキツイものがある。
リスニング学習の教材:日常会話→ ビジネス→専門講義と段階を踏む
実際の日常会話を想定した易しめ・短めのリスニングから始め、徐々に内容を専門的・長くしていく。
まずは分かりやすく、そしてすぐに使える日常会話の英語から始める。
いきなりビジネス・専門的講義の内容を聞いて理解するのは難しすぎるし、楽しくないので続かない。
日常会話でオススメの教材:You Tube、ディズニー、Friends、音楽など
以下の中から特に興味がある教材を選び、熱中するくらいリスニングする。
English Conversation Learn English Speaking English Subtitles Lesson
1つ目はYou TubeにあるEnglish Conversation Learn English Speaking English Subtitles Lessonというシリーズである。約30分のビデオが25本あり、最初の1ヶ月分の学習になる。
このシリーズの中の会話は比較的ゆっくりめであり、字幕も付いているので分からなかった時に参考になる。
まずは字幕の補助をつけて英会話を理解することを楽しみながら、コツコツ学ぶと継続して学びやすい
ディズニー映画はストーリーあり、綺麗な英語、様々な状況、リズミカルで最適!
実は大人でも楽しめるストーリー、お手本のような口語の英語、作品によって違う世界観、リズムで話すところなど、英語学習ではかなりオススメなディズニー映画である。
アナと雪の女王やズートピアなど、すでに見たもの、興味のあるものを英語で学ぼう。
日常会話のど定番:アメリカドラマのFriends
ディズニーの世界は綺麗すぎるという人たちへ、Friendsもオススメである。(一話25分)
洋楽でも良い!リズムはリスニング学習のサプリメント!
普段、せっかく洋楽を聞いているなら歌詞を覚えたい!リズムをつけて歌詞を覚えると、リスニング力がグンとアップし、スピーキングにも使える。
Spotifyは4000万曲を超える洋楽を快適に聞ける音楽ストリーミングサービスである。歌詞をつけて再生できるモードがあり、音楽でリスニングの勉強をしたい人にとてもありがたい。
ビジネス英語でオススメのリスニング教材:TOEIC、You Tube、The Office、Coursera
TOEICはビジネスと日常会話のリスニングが多く含まれており、初級レベルのビジネス英語教材としてオススメである。
TOEICテスト公式問題集はテスト作成元から公式に出ている教材であり、問題の質が良い。(毎日1時間)
新公式 Vol 1、Vol 2、旧形式 Vol 1、Vol 2、Vol 3、Vol 4、Vol 5、Vol 6とあり、1冊に2回分のテストが収録されているので、16回分の練習を積める。
You TubeのBusiness English Conversationでは様々な状況に合わせたビジネス英語を紹介し、丁寧に解説している。
The OfficeはDunder Mifflinという製紙会社を舞台にしたドキュメンタリーっぽいがビジネスコメディである。
実際に仕事で使えるビジネス英語を楽しみながら学ぶことができる。
University of Pennsylvaniaがビジネスと起業家のための英語の授業を提供している。ビジネス英語を完成させられるレベルだが、既にTOEICで800点以上を身につけておく方が良いだろう。
上級編の専門講義!ITエンジニアとして必要な素材を選ぶこと
専門的だが比較的に易しいリスニングはYou TubeにあるIT系の人の動画を見ると良いだろう。
例えば、下の動画はビル・ゲイツ氏がif statementsについて子供用に分かりやすく、短く説明している。
ちなみにこの動画によると、彼が初めにプログラムしたゲームはTic-tac-toe、つまりマル消しゲームとのことである。
下の動画は1983年のAppleのイベントで若き日のBill GateとSteve Jobsが話している貴重なシーンである。
そして単純に動画内容は面白いし、英語は標準的で凄い難しいというわけではない。
Machine Learning、Deep Learning、Data Science、Blockchainなど体系的に専門領域を学べるのはCoursera、edXなどである。これらのMOOC (Massive Open Online Courses)では世界のトップ大学の一流の教授から現地の学生と同じ質の授業を無料または低価で学べる。
1つのビデオが5〜15分くらいの授業であり、画面の下にスクリプトもあるのでリスニング&専門領域の勉強に最適である。
コースは無料で受講できるが、修了証 (verified certificate) を取得するにはお金(50ドルくらい)がかかる。既存の大学の授業に比較して非常に格安である。
TEDでは学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物のプレゼンテーションを見れる。こちらもスクリプトが載っている動画がほとんどなので、聞いている内容が分からなかった場合は参照できる。
自然系の単語を楽しく覚えるならPlanet Earthである。Planet Earthは全12エピソードで構成されている。海、平原、ジャングルなど、場所ごとに動物や自然が紹介される。(参考の映像はこちら。)
リスニングの勉強法は3段階に分ける
リスニングの勉強の段階は主に3段階ある。
- 英語の音を認識できる感度を上げる練習 → 書き取りと追い読み
- 英語の音を意味に処理する練習 → 暗唱
- 理解した意味内容を記憶に定着される練習 → メモ取りと高速リスニング
書き取りと追い読みは1ヶ月〜2ヶ月、暗唱は2ヶ月〜3ヶ月、メモ取りと高速リスニングは3ヶ月〜4ヶ月の時間をかける気持ちでいると良いだろう。
コンピューターに喩えるならば、
- 1段階目でマイクの感度を高めて音を拾えるようにする、
- 2段階目でCPUとメモリを良くして情報の処理力を高める、
- 3段階目でHDDの容量を増やして処理した情報を保存できるようにする
といった具合である。
リスニングの初級レベルの練習:書き取り(Dictation)と追い読み(Shadowing)
初めの1ヶ月〜2ヶ月は書き取りと追い読みを地道にこなそう。教材は日常会話かビジネス英語で難しくないもので、また1つの会話が30秒~1分くらいまでの短いものを選ぶと良い。
まずは純粋の教材のコンテンツを楽しみ、それからリスニングの練習をすると良い。
書き取りとは聞き取った英文を書き取ることである。今まで英語を人生で使うことがなければ、知っている単語や表現でもその音を聴き取れない場合が多い。
リスニングした内容を書き取ることで、まず、自分が何の音を知らないのかを知ることが大事である。
書き取り練習の手順
- 一度リスニングした教材を一文ごとに再生・停止する。
- 聞いた一文を書き取る。一回聞いて分からなければ、何度か聞いてから書き取りしても良い。
- 複数の文章を書き取りし終えれば、スクリプトや字幕を見て自分の文章を確認する。
- 分からなかった音を何度も聞き、できるだけ聞き取れるようにする。
追い読みとは流れてくる音声を追いながら、そのまま復唱することである。聴いた音をスムーズに頭で意味を理解することが目的である。また、追い読みはネイティブらしい発音とイントネーションを身につけるのに効果的である
追い読み練習の手順
- 一度リスニングした教材を一文ごとに再生・停止する。
- 聞いている文章の後を追いながら真似て言う。上手く真似れてないと思えば、何度も聞いて追い読みする。聞いた音が分からなければ、スクリプトや字幕を見て確認する。
- 最後にリスニング全体を再生し、追い読みできるか確認する。
リスニングの中級レベルの練習:暗唱(Reproduction)
ある程度、追い読みができるようになれば、音声を追いながら復唱するのではなく、音声を一通り聴いた後で内容を復唱する練習をしてみよう。
この練習は暗唱 (Reproduction)と言い、聴いた音を即座に理解し、頭の中の記憶に定着することが目的である。
このレベルになると、教材はTOEICなどのビジネス英語の教材を中心にする。全体のリスニング内容は1分〜3分で中レベルのものだが、1文1文は10〜20秒と長め・難しめの会話の教材が良い。
期間は2ヶ月〜3ヶ月近くかけ、少しずつ長いリスニング、難しいリスニングができるようになることが望ましい。
暗唱の練習の手順
- 一度聞いたリスニングの教材を一文ごとに再生・停止する。
- 聞いた一文を”その文章を見ずに”そのまま真似て言う。上手く真似れてないと思えば、何度も聞いてから暗誦する。もし、文章が長すぎれば、途中で区切れば良い。
リスニングの上級レベルの練習:メモ取り(Note-taking)と高速リスニング(Fast-Listening)
初級の書き取りと追い読みでは英語の音をしっかり聞き取れるようになり、中級レベルの暗唱では英語の音の理解の処理速度をあげることが目的だった。
上級レベルの練習では、リスニング内容の論理をしっかり追っていく練習を通して、リスニング内容の記憶への定着を測る。
教材はITエンジニアとして専門的な内容、5分〜10分ほどの長めのリスニングが良いだろう。
メモ取り(Note-taking)とは話の中から要点をつかみ、ノートにメモすることである。メモ取りでは、聞いた内容を理解すると同時に、重要な点をメモできるようにすることが目的である。
高速リスニング(Fast-Listening)とは、高速再生で聞いた内容を理解することである。高速リスニングでは大量の情報量を次々と頭で処理できるようになるのが目的である。高速リスニングとは1.4倍や2倍で普段から聴くようにしていると、音の認識能力、聴いた音の意味を処理するスピードや、聴いた内容を記憶する能力が飛躍的に高まる。
最後のアドバイス
初めに書いたように、あくまでリスニング内容を楽しみながら、長期的に学んでいくことが大事である。
気軽に楽しみながらたくさん聴くことで表現、発音、イントネーションなどはある程度、自然に身につく。(多聴)
一方で、先ほど紹介した勉強方法をストレスがかかり過ぎないほどに取り入れて、負荷をかけたリスニング練習をすると効果が高まる。(精聴)
精聴2:多聴1くらいの割合でリスニングの練習に取り組むとバランスがよく、オススメである。
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