ETS公認トレーナーのTOEFL iBT®テストセミナーに行ってきた!貴重な情報満載だった
TOEFL iBT®テストセミナーに行ってきた。日本に現在たった5名しかいないTOEFL Propell Workshopトレーナーである横川 綾子 先生が講演した。
ETS Authorized Propell Trainer・・・TOEFLに関する正しい知識や採点方式、教授法などを英語教員に指導するために、米国ニュージャージー州のETS本部で研修プログラムに招聘される。テスト開発の仕組み、問題開発者の意図などについて学ぶと同時に、スピーキングとライティングのグレーダーと同様のトレーニングを受け、合格後公認トレーナーとして任命される。
TOEFL iBT®テストセミナーの概要 (告知内容より抜粋)
日時:2016年1月23日(土)
主催:アメリカ大使館/国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部
会場 アメリカンセンターJapan 東京都港区赤坂
講師:横川 綾子 先生
HPの写真にある通り、若干お茶目で、ユーモアがあり、常に笑顔でフレンドリーな方だった。一方で、受験生が苦手なSpeaking、Writingから始める講演の運び方、適度に実演を交えつつ参加者も練習させ、意見も汲み上げていくという高度な授業展開に、終始勢いと活気が溢れた講演だった。『こんな先生が中高の英語の先生だったら』っと思った参加者は多いはず。
また、やはりTOEFL®テスト開発元のETS公認トレーナーしか知り得ないテストの作成と採点情報を聞くことができた。さらに自身の学習方法や過去に指導した受験生の話なども聞けた。おそらくTOEFL iBTの学習経験の長い人でも知らない情報だと思う。
横川先生のTwitterもお勧め。TOEIC(R) テスト いきなり600点!など、TOEICの指導にも長けている。
主に以下の点についてお話しされた。
- TOEFL iBTテスト概要と特徴の説明
- TOEFL iBTテスト4技能の攻略法説明と問題体験・演習
- 効果的な学習方法の紹介
まずはTOEFLの概要と特徴から
引用Boxの中は横川先生の講演した内容の一部
TOEFLの受験者は約25万人、日本の大学生のTOEFL ITPの平均点は458点です。
いきなりTOEFL iBTは難しいので、ITPで500点を取れるまではITPの問題に取り組んで英語の実力を上げる方が良いです。
初っ端から興味深い情報である。TOEFL ITP 500≒iBT 60まではITP対策をする方が良いという意見は業界の人たちの共通意見であり、公認トレーナーからも同じ見解を得られた。ITPの教材はいくつかあり、公式なのは以下である。
TOEFL iBTの日本人の平均点はReading 18点Listening 17点Speaking 17点Writing 18点Total 70点日本はSpeakingとTotal Scoreでアジア最低点になります。
一方で、世界平均はReading 20点Listening19.7Speaking 20.2Writing 20.3Total 80点となっています。
Speaking
一問につき採点者は一人です。ネイティブらしい発音やイントネーションが求められている訳ではないです。
米国ニュージャージー州のETS本部で研修プログラムでスピーキングの採点のトレーニングを受けました。その中で研修を受けて良かったと思ったのが、トレーナーからListener effortが繰り返し強調されていたことです。言い返せば、Speaker’s responsibilityであり、話の分かりやすさが大事ということです。また、具体的な採点基準として下の3つがあります。
- Delivery・・・クリアで聞き取りやすいか。
- Language Use・・・語彙レベル
- Topic Development・・・情報量
Listener effortは採点基準が書かれているSpeaking Rubricsで出てくる言葉。Developing Analytic Rating Guides for TOEFL iBT ® Integrated Speaking Tasksでもその言葉が22回使われている。
どういったeffortかというと、Speakerが何を言おうとしたか理解を要する努力であるとのこと。つまり、発音やイントネーションなどの面で聞き取りやすく、語彙や表現の部分で分かりやすさがあるということだろう。
Listener effort <-> Speaker’s responsibilities
Reader effort <-> Writer’s responsibilities
採点者はテンプレートは気にしていないが、(以下のような)展開の分かりやすさはあるに越したことはありません。
- 立場 (5秒)
- 抽象的な理由 (長くしない。)
- 具体的なエピソード
ただ、テンプレートや発音よりもあくまで解答内容の充実が重要です。
Speakingは自分の解答を録音して勉強する方法がお勧めです。自分の解答の分かりやすさと先ほどの1、2、3をしっかり確認してください。今はオンライン英会話が充実しており、レアジョブやDMM英会話などで講師と話した内容を録音し、後で録音を確認する方法はお勧めです。私もこれを半年続けたことがあるが、一番堪えた学習方法でした。発音や文法の間違いなど、嫌っていうほど気づきました。
まさか講師となっても録音してSpeaking勉強するくらいこの勉強法が大事とは驚きだった。それに、オンライン英会話の話が出てくること自体が筆者としては驚きだった。それだけ近年のオンライン英会話の認知度が広まり、市民権を得てきている。著者もDMM英会話を利用している。(ちなみに400レッスン以上を受講したクリスタルユーザー)
録音勉強に関して筆者もTOEFL iBT Speaking勉強法: 5つのステップ!に詳しく書いている。
その他、具体的な採点基準として次の点も大事です。
- 単純な文章ばかりではなく、複文・重文を使えているか、
- 使える語彙の範囲は広いか
- 言い換え表現をきちんと使えているか
- becauseの代わりにcauseは良いけど、you knowはI don’t knowなので言わない方が良い。
Writing
採点は人と機械の分業になっています。人が内容、機械が文法的な部分を採点しています。特定の書き方など、フォーマットの指定はありません。
人間の採点者にはワード数は表示されず、あくまでも書かれたエッセイの内容を採点対象とします。
これについては第3回 TOEFL iBT® テストWriting対策 No.1 試験の目的、採点の仕組みなどを理解しように詳しく書かれているので、読んだ方が良い。
個人的な経験としては、e-rater®は完全ではなく、その採点方法には抜け穴があるように思える。子供っぽい書き方(口語的表現)であっても高得点を取った受験者を知っているからである。(特に帰国生に多い。)そのため、WritingよりもまずはSpeakingの学習重視を筆者はお勧めしている。
ちなみに機械と人の採点結果が異なりえることは公式のレポートで実証されている。
Writingでタイピングスピードはあった方が良いです。私は神田外語大学でTOEFLの授業を持っていましたが、単にTOEFLの授業だけでなくPCの教室で生徒にタイピングをしてもらっていました。
確かにタイピング慣れしていない人が多いので、そういう必要もある。
Reading
Passageのテーマはアメリカの大学の1年生の教科書から作成されています。さきほどのListener effortと同じく、これもNew Jerseyでの研修に行って聞いて良かったと思った一つです。
つまり、大学1年の専門基礎知識に関する内容を平易な英語の説明から理解できるか、になる。
また、あえて難しく書かれている文章を選んでいる訳ではないことになる。むしろ全米中の大学1年生に分かるように、そしてその人たちが進級してWritingする時に見本になるような平易な英語で教科書は書かれている(と筆者は解釈した)。
難解な英文章を出して英語の読解力自体を試す大学受験英語と作成者の視点と意図が違う。
1分に180 wordsの速度で読めれば、TOEFLもTOEICも時間内に間に合います。
TOEFLに関連する個人的にお勧めな英語教材は
(Listeningについては話が無かったと記憶している。)
講演後のQ&A
ITPで500点に届かない段階でもSpeakingとWritingの勉強は同時並行でするべき。
ITPとiBTでReadingの語彙の難しさは変わらない。パッセージの長さや問題文の違いといった構造上の問題。
ほー、なるほどと思った。こういう事実はテストの点数にはあまり関係ないが、長年のテスト受験者としてはとても気になっていた。ETS公認トレーナーはさすが凄いなと思った。