UBC 交換留学 2009年09月 報告書 (日本語)
1. 授業について
授業の感想と大学院への進学について書いていく。
授業の感想
9月8日から始まった。しかし、この日はオリエンテーションだけで実質的な始まりは9日だった。UBCでは月水金が1時間のクラス、火木が1時間半のクラスである。各科目週3時間あり、3単位を取得できる。10月に中間試験、12月に期末試験がある。
300-500人ほどの大クラスはコンピューター管理のため、教授が勝手に定員数を増やすことができない。従って早めに履修を決めた方が良い。今年の経済学のどのコースも人気があり、9月には履修登録の空きがほとんど無かった。
経済学はアジア系の生徒の割合が高く、6割くらいである。そして、経済を履修している留学生も多い。教授は教科書代が高いことを考慮して、Websiteに載せるか、電子教科書を買うか、ペーパーバックの教科書またはOptional(選択)である。実際に教科書がRequired(必須)だったのは3科目であり、ペーパーかWebだったため全部で130ドルだった。そして、学校のBookstoreよりもAmazon.caのMarket Priceで買えば3割から5割は安くなる。普通に教科書を買えば1年で10万円弱になるがこのように工夫すれば年間5万円くらいに抑えられる。
ブログ追記) 電子化の今、紙の教科書を買う必要はほとんど無い。
UBCは世界的に高い評価を持つが授業は難しくない。授業の進度や難度は関西学院の真面目な授業とほとんど変わりがない。ただし、UBCの試験で高得点を取れるかは別問題である。
今のところ、授業のどの教授も素晴らしく、とても丁寧で分かりやすく説明してくれる。他の学生は熱心で授業中に頻繁に質問をしている。
授業は80%くらい理解できる。しかし、残りの20%の中に大事なポイントが入っていることがある。そのため、必要な予習・復習を行っている。しかし、周り学生も理解できていないことが多く、大した問題ではない。授業後に友達、教授に質問や、オフィスアワーに質問、またはTA(Teaching Assistant)に聞きに行ったりする。
これからは取っている科目を紹介しながら、感想を述べていく。
%は成績評価の割合である。
Econ345 Money and Banking(金融論) Newman教授 中間40%、期末60%
基本的な金融論を学ぶクラスである。9月は利子のことや株価について学んだ。一回目の課題提出は終わり、金利の計算だった。マクロ経済勉強する人は大体この科目を選択する。大クラスであり200人くらいの教室で行う。Newman教授のクラスは半分がギャグと冗談で半分が授業である。有名な教授らしく真剣に勉強する学生にとても人気がある。しかし、テストは応用を利かした難しい内容らしく、最終的に履修登録が満席になることはない。このクラスでは香港の友達がいて理解できなかった部分は良く話し合う。教科書がいらないため予習はせず、復習を中心としている。
Econ355 Introduction to International Trade(国際貿易論入門)Kotwal教授 課題10%、クイズ30%、期末60%
国際貿易に関する基本的理論を学ぶ。9月は比較生産費説と独占、ダンピングについて学んだ。60人くらいのクラスである。章ごとにクイズを行う。教授はインド訛りがあり、初めは彼の英語をあまり理解できなかったが慣れれば大丈夫だった。すでに初めのクイズは終わったが課題とクイズは連動していて簡単だった。教科書はKrugman, Obstfeld, Melitz のInternational EconomicsでMyEconLabというWebsiteから読める。ただ、毎回印刷して勉強する人は印刷コストが大きく、手間がかかるので本を買った方が良い。このクラスではInternational Relationsを専攻しているヨーロッパ人と友達になり、色々情報交換をしている。
Econ441 The process of Economic Development(経済発展の段階) Eswaran教授 課題10%、中間40、期末50%
インドを中心とした具体的な実例を基に経済発展の理論を勉強する。9月のクラスではインドの技術革新の効果について学んだ。この理論はインドだけでなく一般的に応用できる内容になっている。この教授もインド人であり初めは良く発音が分からなかった。教科書に加え、シラバスにあるReadingリストは一項目につき、200ページくらいある。読む時間がないので授業をしっかり聞き、使ったグラフなどは後から印刷する。しかし、板書せずに大事なポイントを言うことが多いので良く聞き逃す。
とても熱心で賢く優しいイスラエル人のInternational Studentの女性と友達になり、良く質問しノートを借りている。また、一緒に勉強し応用問題を解いたりしている。この学生は非常に聡明で1万人に1人くらいの女の子である。ユダヤ人でヘブライ語が母語だが英語がとても上手である。発展経済に興味がありインドで2年間実務を行った後、UBCで学んでいる。授業での質問や話し方から、彼女の高い志と目標を感じた。そして、2つの重要なことを彼女から学んだ。授業の効果的なノートテイキングと習ったことを実践で応用する習慣である。お互いによく話すことがあるのでまた報告したい。
ブログ追記) Eswaran教授の使う教科書はこちら。
Econ442 Issues in Economic Development(経済発展の問題) Volart教授中間35%、期末65、+α(発言など)
経済の成長、貧困や格差への理論と実証を勉強する。9月のクラスでは数学(微分、log、分散など)を用いてソローモデルを勉強した。教科書はRequiredではないがRayのDevelopment Economicsである。教授は30歳前後の女性と若く、発音からしてスペインの教授である。そのため少し発音と声が独特で面白い。
そして、授業ペースが他のクラスに比べ早い。次々に色々な数式を展開し、ノートを取っている間に口頭で説明するので理解する間もない。授業中はついていけないが、見直してみれば良く分かりポイントも限られている。長期の成長モデルは景気関連の勉強に比べるとかなり完成された分野である印象を受けた。結局、数学と統計は留学前にほとんど勉強しなかったので理解できない数式、統計方法は授業後に勉強している。以前に数学の勉強をしようとした時は学ぶ理由が分からず、嫌で止めた。しかし、今回は実践的に使った後に勉強するので、勉強する理由が分かり、頭にすんなりと入っている。
Office Hourで教授に「英語ができない学生にとっては数学と統計は強力な道具になり、院試で重視されるから勉強した方がいい」とアドバイスされた。よって、とりあえず今は何も理由を考えず、統計と数学のクラスを正式には履修しない形で受講することにした。しかし、Empiricalの面で統計や数学が必要なのはよく分かったが理論を考えるのに数学がなぜ必要なのか未だによく分からない。大学院以上の経済学が完全に数学の世界ならば興味を持てないので進学を止めようと思う。
ブログ追記) 大学院経済学はほとんど数学である。
数学で物事を説明することは理路整然で美しい。
しかし、私は経済学で扱う数学モデルは前提条件が非現実的なので嫌いである。
Econ447 Monetary Theory(貨幣論) Newman教授 中間40%、期末60%
貨幣ついてモデルの構築と分析を行う。9月は世代間、人口増、インフレなどを考慮して貨幣のモデルの構築と効用の最大化などの分析を行った。Newman教授はこのクラスが好きらしく、教科書を超えて自分のモデルを構築し応用モデルを説明している。しかし、そのモデルが分かりづらく教科書がないため周りの学生も理解できていない。
授業自体は興味深く、40人くらいの少人数で熱心である。このクラスでは内容の難しさに対応するため隣同士で良く質問する。そのため、メキシカンやブラジリアンなど様々な友達ができた。他のクラスでも大体そうだがこのクラスでも日本人の留学生は私一人であり、Newman教授に授業中よくからかわれる。Newman教授は数学よりも直観を非常に大事にしている。授業で展開したオリジナルの図も正確な数学的な図でなく直観的な図だった。英語ができない私に一般的な話をして英語力を伸ばす機会を与えたり、授業中でも冗談交じりに時々発音の矯正をした。
以上が授業の大まかな内容である。周りの学生は熱心に集中し授業中に良く質問している。時々高校を飛び級した天才児や外国からの鋭い洞察力を持ったInternational Studentsがいて授業は活発になる。
大学院について
今悩んでいるのは大学院についてである。授業で苦労している訳ではないが、英語で読む、聞く、話す、書くはやはり日本語より時間がかかる。そして、英語より母語である日本語の方が考える道具として便利である。よって、日本の大学院を目指すべきではないかと留学に行く前から思っていた。
UBCやアメリカなど周りの環境が良い場所を選ぶよりも、自分にとって有利な大学を目指すべきではと考えている。そこでMukesh教授に聞いたところ、「日本の大学も優秀と聞いているのでそちらに進学することも悪くないだろう」とアドバイスを受けた。しかし、Berta教授に聞きいたところ、「日本の大学院に行くよりもレベルの高いUBCかアメリカの大学院を目指した方が良い。言語の違いは勉強していくうちに対処できる。」とアドバイスされた。また、Berta教授に「1年の留学で英語力は劇的に伸ばせるから、日本人と日本語を話さずに英語をこの1年で頑張りなさい。」と励まされました。教授自身も10年前からイギリスの大学で英語を使い始めたとお聞きしたのでとても説得力があり参考になった。
結局、1年後はどうなるか分からないので将来の結論を出すのはまだ早すぎると思った。とにかく、この1年は英語と数学・統計をできるだけ伸ばし、可能性を広げることに努める。
もう一つの結論として、UBCでさらに2年間学びたい。1年だけでは取れない科目があり残念である。せめて、4月が終わった後にSummer Termだけでも(できないが)参加したい思いである。
ブログ追記) UBCで経済学を修了し、Rutgers大学のPhD課程に受かった今言えることは、Berta教授の助言が100%正しかった。英語力は頑張れば数年で身につく。そして、北米に一流の研究者と学者が基本的に集まる。
2. 生活面について
A. 気候
バンクーバーに来たときは快適な気温で日射は強く、日が長かった。しかし、9月の終わりごろから冷たい風が吹きジャケットが必要になった。バンクーバーはよく雨が降ることで有名だが9月は8回程度でそれほど多くなかった。日本のような豪雨もなく基本的に過ごしやすい
B. 学内生活
バンクーバーはインフラが良く整っている。スカイトレインとトロリーバスで行きたい場所は網羅している。また、電子化も整っていてデビットカードでの購入やインターネットでの決済が多い。
B.1特徴
Place Vanierという食堂付きの寮に住んでいる。Place VanierとTotem Parkは1~2年生を中心にしている(Off campusでシェア型の寮になるほど3~4年生が多く、家賃は寮に比べ高い)。寮に何百人と住んでいるためミーティングや様々なイベントが毎週行われている。部屋には暖房が付いており、インターネットはケーブル(約5ドル)を買えばアクセスすることができる。Common Blockという管理棟にコンビニもある。日本語で利用できるパソコンは見当たらない。
B.2地理
この寮からはArts系の建物が近く、International Houseは5分、図書館も10分弱であるため便利である。図書館はいくつかあるがIrving K. Barber Library(メイン)は朝の7時から晩の1時まで空いている。本格的な買い物へはバス停まで歩いていき、町へ着くのに30分くらいかかる。しかし、基本的に食堂があるので町へ行く必要は少ない。もし飯代を安くし、町に出たいならばFair ViewかWalter Gageが良いと思う。
B.3 生活のために購入する必要があるもの
勉強する気ならプリンターを買うこともお薦めである。私は友人から$20で買った。自転車を買うことは勧めない。値段が高い上に盗難があり、他の人は歩いているからである。
B.4 買い物
大抵の商品は学校のお店やコンビニで手に入るが値段が高い。学内にカフェテリア、バー、Staple(電気店)などがあるがチェーン店を除き価格は高めである。そのため、本はアマゾンで購入し、電化製品はPrice.comで購入することをお薦めする。安く、また運ぶ必要もないため便利である。
B.5 寮の食事
食堂は基本的に関学の食堂よりも20~30%くらい高めである。一食平均5ドル、1日$15くらいが平均である。
料理の種類は東南アジア系、洋食系、ベジタリアン向けとたくさんある。しかし、東南アジア系の料理はあまりおいしくない。よって、50~60種くらい料理はあるが安さと味を考慮すれば選べるのは10種強になる。
B.6 個人的な感想、寮の仲間
寮の選択は人の好みだが個人的にPlace Vanierは大好きである。同じ階にはカナダ人、アメリカ人、インド人、マレーシア、エチオピア人、International Schoolに通っていた日本人などがいてそれぞれ個性を持っている。しかし、レジデンスリーダーを中心に仲が良く、週末には近くのRec Beachでよく遊んでいる。そして、他の1~2年生に比べ勉強する時は熱心でよく図書館に行き予習・復習をしている。
C. 一日のスケジュール
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3 その他
① バンクーバーとUBC全体について
一言で表すならUBCでの日々は最高である!!海と砂浜、夕焼けなどの美しい景色、バスやスカイトレイン、電子決済などのインフラ、周りの学生の優しさと熱心さ、教授の分かりやすく丁寧な指導と完璧である。観光や異文化などで刺激的で、気候は住みやすく、周りの人間からたくさんのことを学べる環境が住みやすい都市として世界ランキングに入っている理由と感じた。留学は気持ちの浮き沈みの連続と聞くが、1ヶ月経っても未だに上がり続けている。後輩の方々にUBCを選ぶことをお薦めできる。
② 英語に対する気持ちの変化
留学を始める目標は経済学の勉強であった。英語力は①大体理解できる、②大体理解してもらえる、で良いと思っていた。ネイティブではないのでそれ以上は徐々に改善するつもりだった。授業で英語を話せるのは当然の前提とされ、英語のことで、教授や授業を邪魔してはいけないと思っていた。
しかし、その考え方は間違っていた。例えば、教授に図に関する質問に行った時、英語だけでは上手く表現できなかった。しかし,教授は私に図を使わせずそのまま言葉だけで説明させた。「It’s good for your English practice! Keep on!!」と言って私にチャンスを与えて下さった。それも一回きりや一人の教授だけの話ではない。ESLの教授でないにも関わらず経済学の教授が英語力を当然の前提と思わず、「If you improve your English, you can much better understand Economics!」との理由で積極的に私に英語を話す機会を下さった。同じような学生が多くて慣れているからか、教授自身も過去に同じ経験をしたからかもしれない。私は今までの英語に対する態度を改めて、経済学と同様、そして経済学の勉強のために意識的に英語力も伸ばす決意をした。
③ 人種
アジア系と西洋系が混じっているため話す言葉はグループによってバラバラである。そのためUBCが外国か日本かを気にしなくなる。日本人は慶応や早稲田など10人くらいに会った。リッツハウスがあるが立命館の学生に会ったことはまだない。
④ バス
バスは平日なら5分おきに来る。休日は場所によるが10分~20分おきくらいである。なぜか運転手はスピードをかなり出して運転が荒い。慣れてなければひどいバス酔いをする。
⑤ Exchange StudentとInternational Student
留学生(1年間)とInternational Student(4年間)は時々扱いが違う。例えば留学生はアルバイトできない(ボランティアはできる)。また、一年間しかいないので大抵はPre-requisite(専修科目)なしで登録できる。
⑥ 9月の支出
バンクーバーはトロントに次いで2番目に大きい都市である。さらに、オリンピックがあるのでカナダの中では物価は高めである。日本と比べてみると商品によっては高かったり、安かったりする。食事は全体的に2,3割高い。税は連邦税5%、州税が7%であり、お酒は別に税がかかる。以下は9月の支出明細であり、大体の参考である。なお寮費と寮の食費は予め一定額を支払っているので差し引いている。
基本支出
洗濯カード15回分 $60
食費$100(寮の食費を考慮しない。)
文房具 $10
インク $60
服2着、サンダルなど $40
薬 $10(喉が腫れたため)
シャンプー、歯ブラシ $10
コピー(250枚)$20
その他日用品 $50
全イベント参加費 $50
色々な手数料 $20
$430
特別支出
印刷機 $20
印刷機と印刷機のケーブル2本 $40
ベッドシーツ $25
ケータイ代$80
教科書$450(勉強するつもりなのでOptionalな本も購入した。必要のない人は200~300$)
$615
計$1035
来月は$500~600くらいに収める予定である。
⑦ 9月のイベント
3日~5日 International Orientation
初日に講堂でCeremonyを行う。数回のミーティングや授業やアルバイトのアドバイスなどを受ける。4日には数種類のTourやWinter classicといって体育館でアイスホッケーなど冬のスポーツが楽しめる。ちなみにオリテンに行かなくても後で友達はたくさんできるし、情報はWEBで手に入るから大丈夫である。
5日~11日 寮のオリエンテーション
寮でのミーティングやBBQ、Soccer、フリスビー大会、プール、Ice cream party、ダンスパーティ、映画鑑賞会、アイススケート、Improv(即興)、Comedy showなどがある。それぞれのイベントでお互いに自己紹介をし合う。
8日~ 授業開始、授業オリエンテーション、カーニバル
カーニバルでは各クラブがMain Mall(道の名前)にBoothを置き新入生を歓迎する。
10日寮のフロアメンバーで食事
日本食レストランで全員が食事する。
16日International House Meeting
お互いの紹介やAssociationのお誘いなどがある。
24~25日 クラブフェア
各クラブがSUB(学生会館)にBoothを置き、新入生の勧誘を行う。
26日 寮のオリンピック大会、ロングボート大会、寮のダンスパーティ
オリンピック大会では寮対抗で独自のスポーツをする。ロングボート大会はチームで優勝を目指す。
28日Go Global Week
UBCの学生を対象に留学生やInternational Studentがアドバイスなどを行う。
30日~10/2日Career Fair
UBC最大のCareer Fairで現地の大企業がBoothを置き、学生と話し合う。
10月1日 寮の誕生のセレブレーション
みんなで寮の誕生を祝いお菓子を食べる。
寮の写真 (Tec de Monterrey)
12ある図書館で一番大きいIrving K.BARBER Library。
勉強部屋
勉強部屋以外は食べても話しても大丈夫である。
騒ぐ学生はいないが話している学生はよく見る。
関西学院の図書館とは用途の概念がかなり違う。
1階のラウンジ。かなり広い。
KOERNER LIBRARY.
こちらの方が本はたくさんあり、静かである。