ISAKの評判を探る!在学中の生徒に話を聞いてみた②〜IBDP編
サムネイルの写真はISAKのFBから引用。
前回の続きで、今回は学業編になり、IB Diploma Program (国際ディプロマプログラム)の話に移る。
Kamal Lawati君から具体的な科目の内容や良い成績の取り方、事前準備などについて聞いてきた。
IB Diplomaのプログラムにあまり詳しくない場合、先に国際バカロレアのディプロマ・プログラム(IBDP)についてを参照して欲しい。
先に結論
IBは非常にレベルの高いカリキュラムである。
基本的には授業中は講義・議論中心で、生徒は授業外で各科目の宿題とプロジェクト、TOK、EE、CASの準備を勧めなければならない。そのため、日本の高校のようにやる気を出せば勉強ができるようになるというレベルの問題ではなく、しっかり情報収集とタイムマネジメントをし、戦略的な勉強ができるかが求められる。
その他に、①学んだことをそのままにせず常に復習すること、②可能であれば入学までに予習をしておくこと、③採点基準を理解した上で試験までにIBの過去問を解けるようにしておくこと、④エッセイ・プロジェクトのお題は早く見つけておくことが良い成績を取るコツらしい。
IBでの受講科目について
→ IBではHigh Level(HL)から3〜4科目、Standard Level (SL)から2〜3科目の合計6科目取る必要があると思います。何の科目を取っていますか
- HL Economics
- HL Physics
- HL English
- SL Math
- SL Computer Science
- SL Japanese ab initio (beginner’s class)
→ Economicsの授業はどのように行われていますか
インド人の先生が教鞭を執っている。先生はシラバスの全内容を1年目で終わらせて、2年目を練習に使うつもり。
予習のReadingがあり、それを前提にクラスで議論している。
評価の80%は外部の筆記試験で決まる。
評価の20%にあたるエッセイは3つの出来事を見つけ、経済学の理論に当てはめて因果関係を調べること。
この授業のコツは過去に勉強した内容を定期的に復習するということ。新しい内容は以前の内容の積み重ねだから。また、経済学以外にも言えるがIBの厳密な評価・採点基準(Rubrics)を理解して、それに沿った答えを書くこと。
参考)IBDPのEconomicsについて
→ Englishの授業はどのように行われていますか
Englishの授業は評価の15%にあたる”Further Oral Assessment”がある。
授業で学ぶ目的や目標に関連する15分ほどのプレゼンテーションかショーを準備、発表する。
例えば、言語とジェンダーがある。いくつかの言葉は自動的に性差に関係している。それはステレオタイプ、偏見がこのトピックの中心であり、生徒に意識できるように促す。
Writing課題は評価の25%に当たる。あたなが学んだことや向かっている目標について、300 wordsほどのイントロダクションと1000 wordsほどのメインエッセイを書く。
Individual Oral Commentary(個別口頭試問)は評価の15%に当たる。面接があり、箱の中に入っている紙を一枚引く。それぞれの紙には2年間の授業で中で学んだ様々なお題が書かれている。その紙に書かれているお題について10分〜15分ほど話すことになる。
外部の最終試験は45%になる。
→ Englishの成績を良くするコツはありますか
この授業のコツはWriting課題のお題についてできるだけ早く見つけること。書くことよりもお題を見つけるのが難し。
また、最初の原稿を締切日よりも前に完成させること。数日おいて復習し、改善する方が良い。
課題提出後、先生からフィードバックを受け取り、さらに原稿を直し続ける方が良い。最終的にIBに良い作品を提出できる。
→ MathematicsとPhysicsはどうですか
色々なトピックが範囲に含まれ、各トピックが終わるごとに20問くらいの宿題を出される。
SLのMathematicsはHLよりも大分簡単。教科書は違い、複雑さや応用問題、扱う問題数が違う。
授業のコツは常にIBの過去問を見つけて復習すること。先生も授業の試験問題を過去問から作成する場合がある。
→Computer Scienceはどうですか
プログラミング言語はJava、IDEはEclipseを使っている。たくさんの問題演習をこなす必要がある。
25%の内部評価では潜在的なお客を探し、その人のためにアプリを作るという課題がある。お客は友達、家族、学校関係者でも大丈夫。
お客と自分の過程を記録しながら、アプリがお客に適しているか確かめていく。最終的(1年半後)にアプリと記録を提出して完了となる。
あとは外部試験が75%になる。
コツとしてはたくさんの問題を解く、簡単な問題で手こずらないこと。
→Japanese ab initioはどうですか
生徒が自分たち自身を教えている。自学自習を先生が奨励している。
コツとして、他の科目にも言えるが事前の学習経験がある方が有利だ。
少なくてもひらがなとカタカナの知識はある方が、授業で扱う500個の漢字にスムーズに移行できる。
→ 各科目に課されているプロジェクトのテーマは決まっていますか
研究テーマはまだ決まっていないが、原案を提出するところ。
Physicsはエネルギーのスピードと損失について。Computer Scienceはゲームか、自動出席簿の作成のどちらか。Mathは夏休みに考えるつもり。
3つのコア科目について
→ Extended essayはどうですか
自分の研究課題について調査する必要がある。お題を考え、実験をして、データを集め、分析していく。IBはessayの書き方の書式に詳細なガイドラインがあるので、それに従うことが大切である。
→ Theory of knowledgeはどうですか
講義では毎回新しい哲学的コンセプトを学ぶ。哲学的問題自体に正しい・間違いはなく、問題の本質を分析し議論していく。
最終的に現実問題と学んだ哲学を関連づけ、1500 wordsの論文を書き、10分間のプレゼンテーションをする必要がある。
→Creativity, activity, serviceはどうですか
基本的にはスポーツや奉仕活動のはずだが、ISAKでは特別になっている。各生徒に15,000円が与えられ、ビジネスを始めることになっている。CASのためだけに2週間活動する期間も与えられ、その間に授業はない。
私たちの年は、グループを組んでネパールに学校を立てようとしている。そのための募金活動も行なっている。学校建設と同時に必要な救急車やスクールバス用の資金も集めている。
他に、着物のお店を開いたり、軽井沢の観光の活性化のための通訳などをしている生徒がいる。これらは私が入学してからわずか半年での活動である。
IBDPの試験について
→ 試験はどのくらいのペースでありますか
年に2学期あり、1学期につき2回のQuarterly Examsと1回のSemester Examsがある。ただ、Quarterly Examsは中間試験なので、科目によってはない場合もある。
→ 試験期間中に授業は行なっていないのですか
Semester Examsは試験期間が設けられていて、その間に授業は一切ない。けど、各科目の中間試験は授業中に行うので他の授業は平行して行われている。
参考)ISAKのカレンダー
→ Semester Examはその学期に扱った範囲だけが出題されるのですか
Quarter Examはその期間で習った範囲のみだが、Semester Examはこれまでの範囲の全てを含む。
だから、定期的に過去に学んだ内容も復習しておくことが大切だ。
→ 正直、6科目の予習・宿題・プロジェクト、EE・TOK・CASのプロジェクト、Quarter試験の準備と大変ではないですか
そう!それがIBの大変なところ。1科目ごとの課題は何とかできるが、他の宿題、プロジェクトなども並行して動くので時間管理をしっかり行える必要がある。
IBDPの成績について
→ 差し支えなければ現在のPredict Gradesを教えてください。
42点中36点 (EEとTOKの3点を除く)
Mathematics、Japaneseは満点。Physics、Computer Science、Englishは少し点数を落とした。
経済学は前回勉強できなかったので低かった。
※ IB Predicted Grades(見込み点):2年間の途中にある試験やEssayなどの評価を元に何回か見込み点が出される。
卒業見込みでの大学出願はこのPredicted Gradesで出願することになり、実質的に非常に大事な要素。(詳細)
→ ちなみに、その見込み点は正確だと思いますか、またISAKではどれくらいの頻度でPredicted Gradesが出ますか
学校の試験問題はIBの過去問を参考にして作っているのでかなり正確なはず。
今のところ、1学期に2回、Predicted Gradesが出ている。Quarter 1の試験後と、Quarter 2とSemester Examは合算でGradesが出された。
→全体的な意見や成績を良くすることに関してアドバイスはありますか、入学前の準備なども含めて
入学するのは難しいかもしれないが、入学後の学習に関して言えば、難しすぎることはない。
コツ1:学んだことをそのままにせず、常に復習すること。同じ時間を勉強する時、試験前に一気に勉強するよりも、継続的に勉強する方がずっと効率的に勉強でき、良い成績を取れる。
コツ2:コツ1に違いが、入学までに時間があれば、いくつかの科目については既に親しみがある方が有利な点は否めない。特に、economics, mathematics, computer science, physicsなど科学的な学問である。もし、入学までに時間があればeconomicsの教科書を読んだり、Javaに学んでおくと良い。
コツ3:IBの過去問を見つけて復習すること。Semester Examsなども過去問題の類題が出てくる場合が多い。同時にたくさんの演習問題をし、傾向慣れしておくこと。また、同時にIBの厳密な評価・採点基準(Rubrics)を理解して、それに沿った答えを書くようにする。
コツ4:エッセイ、リポートなどのプロジェクトはできるだけ早くお題を見つけるようにし、継続的に取り組むこと。良いお題選びと作品完成への計画が大切になる。
コツ5:タイムマネージメント(優先順位)と将来に関するモチベーションを高めること
一つ一つのexamやproject自体は時間をかければ対応できるが、不定期・不規則にバラバラで出されるので上手く対応する必要がある。誰でもどこかで”Emotional Crisis”(感情的な危機)は2年間であるが、それでもDiplomaのために頑張り続けなければいけない。将来に関するモチベーションをしっかり持っておくことが大切だ。
IBDPプログラムの総括
→ IBのプログラムを勧めますか
多くのことに取り組む必要があり簡単ではないので、全員にはオススメしない。特に、時間管理がまだできない生徒には難しい。
大学での評価など得るものも沢山あるが、それ以上に大変な課題量と試験問題だ。
もし将来、やりがいのある環境で働きたいと考えているなら、IBはオススメ。
IB自体を目標をしない方が良い。それ自体は特に何の意味もないことに気づき、途中で挫折る可能性が高い。
筆者より科目選択に関して捕捉
進学時、大学や学部によって、HL/SLの指定や科目のスコアに要件があるので科目選択は慎重にすると良い。(特にトップ大学)
どの学部に行きたいか分からない時、選択の幅が広がるし、役に立つのはPhysics, Economics, Mathematics, English, Computer Scienceを履修することである。
医学部系であればBiologyが必要になったりするが、そもそも医者志望の人は既に知っているはずなので選択に困らないはずである。
以上、IB Diploma ProgramについてISAKに在学中の生徒にインタービューした内容だった。