2020年の入試改革で英語の民間検定・マーク式併用案に対して賛成・反対?

2017/06/20

入試で英語の民間検定・マーク式併用 20~23年度

文部科学省は、2020年度に導入する「大学入学共通テスト(仮称)」の英語について、23年度までの4年間は民間試験の活用と現行のマークシート式試験と併存させる方向で継続する方針を固めた。

各大学はどちらか一方、または両方を活用できるようになる。受験生は志望する大学の活用状況に合わせて、受験できる。制度の大幅な変更による受験生や高校、大学への影響を考慮して4年間の「移行期間」を設けた形である。

(各新聞記事より要約)

ちなみにYahoo!の毎日新聞の記事のコメント欄では

  • 受験生に話す・書く・聞くの能力を求めるのはいいが、その能力が不十分な教師が多すぎる。教えられるのか?
  • どこかで必ず、利権が絡んでいるよね。
  • テストを選べるなら確実に有利不利が出る。実施するのは構わないがこのレベルなら変えない方がわかりやすいし公平。
  • 何を求めてるテストか分からなくなってきたなぁ。
    大学で学ぶのに必要な学力を確保するはずのものが
    英語だけ別物になってきてる感じ。

4技能英語や大学入試などに全般的に詳しい筆者からすれば、おそらくほとんどの人はこの変化の意味が理解できていないという印象である。そこで筆者の意見を下に書く。

筆者の意見:並存案に基本的に賛成

今回の大学入試における英語の民間検定・マーク式併用並存案に基本的に賛成である。

グローバルな人材養成を促進するため国家として、①英語の入試改革(4技能英語を測る民間試験の活用)、②教育内容の変更(読む・聞く・話す・書くの早期化)、③英語教員の質を上げることを推し進めている。これらは三位一体で進めていかないと大きな弊害が出る。

一方、4技能英語を測る民間試験の活用した入試の導入は必要であるが、教育内容の浸透と教員の養成が教育現場、特に地方では間に合っていない。そのため、入試もマークと民間試験の併存という妥協案は都心と地方の英語教育格差の対応策として必要である。

2023年までマーク式・民間試験を併用して行く中で、全国の教育現場の4技能の英語教育もある程度の前進はするであろう。(というより、そうしていかなければいけない。)

ただし、国立・私学がどれだけマーク式と民間資格の併存案を採用するかが不透明である。これは早期に明確にさせないと20年〜23年に受験する生徒が対応できなくなる。

一方、どのみち4技能英語力は将来、社会で必要不可欠な時代を迎える。そのため、現在中学3年生以下にあたる生徒は可能な限り4技能英語力を身につけるようにすると良い。

現在の中学3年生の今後の英語力の到達目標

TOEFL/IELTSの民間試験で6.0以上のスコアを出せる生徒はマーク式の英語でほぼ満点取れるので、実質的には民間試験の準備だけで十分である。

ちなみに両方のテストに対応するために生徒の負担が増えるというのはおかしい。それが嫌であれば、得意な方だけに絞って対策すれば良い。チャンスを多くしたいならそれだけ努力をするべきである。

早慶上智レベルを目指すのであれば、高校2年生の夏までに英検準1級を取り、高校3年生の春までにTOEFL iBT 90点またはIELTSで6.5を取れるようにすると良い。

GMARCHレベルであれば高校2年生の冬までに英検準1級、高校3年生の夏までにTOEFL iBT 80点、IELTSで6.0を取れるようにしておくと良い。

今後の課題は地方と都心の英語教育格差の解消と英語教師の育成

都心と地方の英語教育格差は英語カリキュラムや教師の質などにある。英語カリキュラムは2020年より小学3年生から4技能教育を施すようになり、根本的に変わりつつある。

もう一方の英語教師の英語能力と指導技能の強化も不可欠である。中南米諸国のアルゼンチン、チリ、コスタリカでは英語教師の英語能力、指導する技能を向上させ、生徒の英語能力を伸ばしている。

4技能英語である聞く、話す、書くの実演とそれらの勉強法を教えられる先生が日本は本当に数少ない。(たぶん数%)

2016年度に約750万円の予算を組み、セミナーの受講費や受験料も負担した。一度で目標とする730点以上(英検準1級に相当)に達しなかった教員には2回目の「再試験」もあった。しかし、「合格」したのは対象者74人のうち16人。

ニュースサイトで読む: 中学英語教員、TOEIC「合格」わずか 疑問も、Copyright 毎日新聞

以上、2020年の入試改革における英語の民間検定・マーク式併用案に対する筆者の意見を書いた。

Thank you!